隣の家との境界線はどこに?

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Q:隣地との境界が曖昧です。このまま売れますか?

住んでいる時にはあまり気にすることがない隣との境界線ですが、実は、とても大切なものです。いざ、お住まいの土地・建物を売却しようとする際、その値段を決めるために正確な土地の面積が必要となるからです。そのため、売却をお考えの土地と隣地との境界が曖昧、あるいは、不明な場合、測量を行って境界を確定させなければなりません。今回はこの見落とされがちな「隣地との境界」についてご説明します。

境界標とは?

隣の土地との境目には、境界を可視化するために「境界標」と呼ばれる標識が埋められています。具体的にどのようなものかというと、ほとんどは杭かプレートで示されています。その原料は、御影石やコンクリートでできているものもあれば、金属やプラスチックの場合もあります。表面に境界を示す十字や矢印などが刻まれてあり、皆さんも道路などで目にしたこともあるかもしれませんね。

通常はこの境界標を目印に、正確な面積を出し、土地の価格を決定します。しかし、目印であるはずの境界標(特にプラスチックでできているもの)が失われていて、見つからないことが多々あります。その主な原因は、長年の雨風などによる風化です。

風化などによって境界標が失われてしまった土地を売りたいときは、とりあえず登記簿に記載されている面積「地積」を基に売買価格を決めて売りに出します。このような場合であっても、買主様が見つかり次第、面積をきちんと明確にするため測量を行います。測量を実施して新しい境界標を所定の場所に設置し、境界を明らかにするわけです。

なぜここまでするかというと、土地の値段が高い市街地や住宅街の場合においては、登記簿上の面積と実際の面積の差がわずかであっても金額に換算すると大変大きなものになってしまい、トラブルの元になってしまうからです。

また、境界が不明確な土地については「地積」の面積でとりあえずの売買価格を決めるとお伝えしましたが、後の測量によって実際に差異が生じた場合は、その取扱いについてあらかじめ特約の中で定めておきます。このほか、住宅ローンを組んだり、土地に抵当権を設定する際にも確定測量が必要となります。

測量の費用は売主様が負担します

確定測量を行うのは「土地家屋調査士」です。確定測量は、まず土地家屋調査士に依頼し、土地の権利証や固定資産税の通知書などの必要書類を揃えます。そして土地家屋調査士が調査を開始し、「立ち合い」を行った後、調査の結果から図面を作成します。これが完成すれば、あとは「境界確認書」を作り、登記を申請して終了、という流れになります。

「立ち合い」は、測量する土地に隣接しているすべての土地の所有者たちに、測量に立ち会ってもらうことを言います。立ち合いでは、そのすべての人に印鑑を押してもらったり、印鑑証明が必要となるため、たいへんな手間がかかります。

立ち合いや図面の作成にかかる時間などを考慮すると、確定測量には3~4カ月かかることも珍しくなく、費用も決して安いものではありません。そのため、まずは見積もりを依頼するのがお勧めです。

基本的に、確定測量の費用は売主様が負担することになっています。測量を行うということは、正確な面積=正確な資産価値を知ることが出来ますし、隣地権利者とのトラブルを回避するためにも大切なことだからです。なにより、売りに出したのはいいけれど、「正確な面積や境界線はわかりません」では、売主様として無責任ですよね。

「売却を考えている物件の境界線がよくわからない」ということであれば、トラブルを防ぎ、スムーズな売却を実現するためにも、まずは信頼できる不動産会社に相談することをお勧めします。