Q:不動産を売却するとき、広告費用は誰の負担?
売主様が不動産会社にご自身の不動産売却を任せると、任された会社はその不動産を売るため「販売活動」に取り組みます。販売活動というと少し難しく聞こえますが、わかりやすい例で言えば「広告」です。皆さんも日頃、不動産のチラシや案内、インターネットでの広告を目にする機会も多いと思います。それらの広告を作成しているのはプロですが、では、費用は誰が負担しているのでしょう。今回は、その点についてお話していきます。
広告費用は不動産会社が負担します
ズバリ、販売活動の中でかかる広告費用を負担するのは不動産会社です。不動産の売買仲介において、不動産会社が実際に受け取れるお金は仲介手数料のみと法律で定められています。そのため、売主様は基本的には「広告費」として不動産会社へ別途支払う必要はありません。
まず、物件をお預かりした不動産会社が取り掛かる広告活動として「レインズへの登録」という作業があります。レインズとは全国各地の不動産業者がチェックしているデーターベースのことで、特に専属専任媒介・専任媒介の場合、ここへの登録は不可欠となります。
もちろん、店頭に物件情報をディスプレイして近隣や既存のお客様に告知することをはじめ、実際に現地に看板などを設置することも少なくありません。こうした活動で、購入希望者の方や他の不動産会社からの問い合わせが期待できます。
ほかにも、広告活動で今や外すことができないのがインターネットです。「SUUMO」や「アットホーム」など知名度の高い不動産ポータルサイトに掲載料を支払って物件の情報を掲載します。最近はインターネットでの情報収集が主流となっているため、多くの人に物件の情報をアピールでき、高い広告効果が見込めます。
また、昔ながらの方法ですが、依然として行われているのが折り込み広告やチラシのポスティングといった、紙ベースの媒体を使った広告活動です。紙媒体の広告は、エリアを絞って各々の住宅のポストに直接配布するため、確実に情報を届けることができます。上手くいけば、ほかの媒体と比べて良い反応が得られるため、取り組む不動産会社は今でも一定数いるわけです。
広告費を売主様が負担する場合
先ほど、「基本的には広告費は不動産会社が負担する」とお話をしましたが、例外もあります。広告費を売主様が負担するケースがあるのです。たとえば、売主様側から「この媒体を使ってほしい」と不動産会社に特別な依頼を行なった場合などがそれにあたります。
「ある特定の地域の情報誌へ物件を掲載してほしい」というような依頼や、折り込みチラシの大幅な増刷を売主様が希望する場合、「(媒介契約を結んだ)不動産会社が普段取り組んでいないような特別な広告活動の依頼」とみなされ、例外的に売主様に実費を請求することが認められています。
このほか、売主様が広告費を負担しなければならないケースとして、不動産の専属専任媒介契約・専任媒介契約の契約期間の途中で、売主様が一方的に契約を解除した場合があげられます。
この場合、契約成立時から解約時までの間に不動産会社が取り組んでいた広告活動の費用が請求されます。しかし実際には、3カ月という短い契約期間であることから、この期間内に解約を申し出る売主様はほとんどいません。つまり、売主様が広告費を負担するのは極めて稀なのが実際のところです。
不動産会社は、売主様から売却を任された物件を売るためにさまざまな方法や媒体を用いて物件をアピールします。その広告活動の費用は不動産会社が負担するのが原則です。売主様は、不動産会社がどのような方法で広告活動に取り組むのかを営業マンからあらかじめ聞いておくと良いでしょう。